その姫山公園のモミジのトンネルを、幼いワタクシは駆け抜け、落葉を舞い
上がらせます。左に右に石垣の間を直角に曲がって進めばボート乗り場。
浮き桟橋はユラユラ揺れて怖く、コカ・コーラの瓶を抜く式の自動販売機と
赤いベンチに猫が丸まり、ひと気なく繋がれたボートが静かに揺れます。
「国鉄営林署官舎前」のバス停を発車したボンネットバスがボート乗り場で
右折し、煙を吐いて加速すれば狭いお城の前の道に出て、ガラスの向こうで
次々と焼き上がる御座候の前を通過。
そう、現在の好古園の敷地は当時、お堀の泥を上げる広い空き地と国鉄官舎、
営林署官舎、山陽石油のガソリンスタンド、NHK姫路支局、西播米穀などが
あって、徐々に空き家や空き地になって行くのでした。
広い大手門駐車場もあまり使われていない市民グラウンドでしたから、当時
まだ少数派だったマイカーで来たお城観光客は、ボート乗り場周辺の道路の
左右に路上駐車していました。その間を行くボンネットバス。
幼いワタクシはまだ無理でしたが、やんちゃな子供たちは停留所で停まった
バスの後部バンパーに飛び乗って、ボート乗り場の直角カーブでスピードを
落としたタイミングで飛び降りる遊びをしていました。
今秋は何十年かぶりに訪ねてみたいです・・・姫山公園。
幼いワタクシが下を駆け抜け、やがて彼女と歩き、また二人乗りで、そして
写真を撮ったそのモミジは、いま見るモミジと同じモミジなのでしょう。
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