墓場迷走

 

 

晴れ渡る空高く、時間が停まったような土曜日の昼下がり、ワタクシは道に迷い

落葉を踏みしめながら、ひと気の無い墓場を彷徨い( さまよい )歩いています。

 

もうどれだけ時間が過ぎたでしょう。永遠のようにも感じますし、もしかすると

まだ5、6分ほどしか経っていないのかも知れません。

 

ときおり現れる蜘蛛の巣を払うために、枯枝を1本拾い上げ、上下に振りながら

どこに繋がっているのか、繋がらないのか、微かな踏み跡を辿ってみるのですが

先ほどからもう二度、三度、行き詰まって引き返すことの繰り返し。

 

20191102_keifukuji.jpg

 

ガソリンスタンドに預けたクルマを引き取りに、徒歩で向かっていただけですが

なるべく真っ直ぐに行ってみようと、高低差を無視して進んだがために。

 

標高51mの墓場から出られません。

 

迷い迷って見つけた踏み跡に沿って歩き続け辿り着いたのは、直線的に歩こうと

一番最初に現れた、崩れかけた石段を登りはじめたその場所で、そう巡り巡って

何年もかけてふり出しに戻った感覚は、もしかするとキツネに化かされたのか?

 

いや、裾の汚れたズボンが、それが現実にあったことの証で、夜に洗濯物として

出す際には、汚した場所を申告せねばならず、彼女に叱られること必至。

 

 

Copyright (C) 2000~ 平瀬謹也 All Rights Reserved.

 

 

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