晴れ渡る空高く、時間が停まったような土曜日の昼下がり、ワタクシは道に迷い
落葉を踏みしめながら、ひと気の無い墓場を彷徨い( さまよい )歩いています。
もうどれだけ時間が過ぎたでしょう。永遠のようにも感じますし、もしかすると
まだ5、6分ほどしか経っていないのかも知れません。
ときおり現れる蜘蛛の巣を払うために、枯枝を1本拾い上げ、上下に振りながら
どこに繋がっているのか、繋がらないのか、微かな踏み跡を辿ってみるのですが
先ほどからもう二度、三度、行き詰まって引き返すことの繰り返し。
ガソリンスタンドに預けたクルマを引き取りに、徒歩で向かっていただけですが
なるべく真っ直ぐに行ってみようと、高低差を無視して進んだがために。
標高51mの墓場から出られません。
迷い迷って見つけた踏み跡に沿って歩き続け辿り着いたのは、直線的に歩こうと
一番最初に現れた、崩れかけた石段を登りはじめたその場所で、そう巡り巡って
何年もかけてふり出しに戻った感覚は、もしかするとキツネに化かされたのか?
いや、裾の汚れたズボンが、それが現実にあったことの証で、夜に洗濯物として
出す際には、汚した場所を申告せねばならず、彼女に叱られること必至。
Copyright (C) 2000~ 平瀬謹也 All Rights Reserved.
コメントする