おぼろげな幼少の頃の記憶、円筒状でレンコンのような丸穴がいっぱい開いた炭
" 練炭 " に、ガスコンロを使い火をいこす母の姿を覚えているのですが、それが
何に使われていたのかが思い出せません。
客間にそれぞれ、火鉢があったような曖昧な記憶もあり、それは冬場の宿泊者の
暖をとるために使われていたのでしょうか。
最近、ワタクシは火鉢を手に入れたのですが、それは練炭を使うタイプではなく
灰の上に炭を数個置いて、手を暖めたり、五徳の上に置いた鉄瓶がシュンシュン
鳴いたり、野菜を煮込む鍋の匂い、ときには小さな網を置きモチを焼いてみたり
スルメを炙って灰に挿したチロリに温まった酒をちびりと。
火鉢遊びが色々と思い浮かんで楽しみなのですが、昔と違って気密性の高まった
住宅では、換気には十分注意しなくてはなりません。
さて、入手したのは火鉢本体だけですので、火箸や五徳、灰ならし等の小道具を
揃えたり、なにより火鉢を灰で満たす必要があるのですが、この " 灰 " の入手が
難しかったり、高価だったり。
なので、火鉢の下の方は泥粘土でかさ上げしたりするそうですが、ここは贅沢に
広葉樹の灰のみで満たします。冬場は薪ストーブも活躍しているので、そこから
発生した灰を、空になったバルボリンのペール缶を洗い溜め込んでいたのです。
貴重な灰を大きく汚す訳には行きませんから、火鉢では脂を落とすような食材は
焼かないのがルール。( 笑 )台風一過、すすき原の向こうに上る、下弦の月を
眺めながら、乾きものを炙って一杯。
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