漆黒の闇に満開のサクラ妖しく、はらり、ひらりと花びら舞い落とす、時は深夜
丑三つ時、生暖かい空気に包まれた暗がりの中から聞こえる、嗚咽の繰り返しに
覚醒し、手を伸ばし取ったスマホで正確な時間を確認すると午前2時53分。
画面の乏しい光量に照らし出されるのは、行燈( あんどん )の中に顔を差入れ
長い舌で油を舐めている、髪の毛の長い女ではなく、ウチの飼い猫 " ゆず " が、
暗がりの中で嗚咽を繰り返しながらゲロっています。
いつも通りの、ウゲ、ウゲ、ウゲ3回がワンセット。
もうしばしの睡眠を続けたいワタクシは「 お願い、階段の上から階下に向かって
撒き散らかすのはやめて 」と祈り、起床後の掃除のことを考えながら再眠。
春も半ば、すでに一緒に寝てくれなくなっている " ゆず " が、めずらしく昨夜は
布団の上からワタクシの両足の間にグイグイ割って入り、からだを沈め寝ていた
ので嗚咽には少々焦ったのですが・・・ 布団の上でなくてよかった。
そんな " ゆず " 、先々週あたりからは、夜も居間のソファーの上で寝ています。
「ちょっと寝相が悪すぎひんか? 」
「 おきづかいなく。 ・・・よるもあたたかくなりましたから 」
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