出先から戻ってきて駐車場へのスロープを登る、その目線の先にちょうど、いま
まさに欠けきる直前、上部だけがスッと細く輝く月が。
「 そうか、今夜は皆既月食、社長にも教えてあげよう 」 と、バックで駐車して
運行日誌を記入する頃には、すっかり忘れ、事務所で残務を片付け帰途へ。
忘れ続けて街を抜け、自動車専用道を北へ走り、降りれば再び川沿いに少々北上、
右折して小さな峠を越えれば、少ない灯りに凛として佇む集落。
道案内にやさしく灯る、井戸小屋の灯りに導かれて、たどり着けば田舎暮らしの
我が家、クルマを停めて見上げれば 「 そうか、今夜は皆既月食 」
空から微かに、ゴゴォ~とエンジン音が聞こえ、ピークを過ぎて満ちてきている
月の方向から、赤や緑の灯りを点滅させた飛行機が1機、2機、3機・・・5機。
そう、ここの上空は航路にあたっているようで、この時間帯は数多くの飛行機が
上空を通過して行くのを視認できるのですが、すべての機体が東の空に輝く月の
方向から現れて、西へ、西へと。
どこへ向かっているんだろう・・・
見渡せば今夜、満ちてゆく月明かりにもかかわらず、星座もいっぱい見えていて
天頂あたり、あの薄く延びる帯は銀河でしょうか。
Copyright (C) 2000~ 平瀬謹也 All Rights Reserved.
コメントする