古い町並みを曲がって鐘門をくぐると、住宅地にたたずむ時間が止まったような
静かな空間、ゆらぐ反射が美しい磨き抜かれたレトロガラス建具の庫裡を右手に
細部まで手入れが行き届いた石畳をすすむと本堂。
壁掛けの扇風機がやさしく回っていることで間違いないことを知りますが、今は
誰もいない静けさに、本当にここなのか、初めて訪れた場所に戸惑いも覚えます。
灯された蝋燭がゆらいでいるのかどうかさえ、わからないほどの穏やかな時間に
やさしく流れる読経、合い間に入れていただいた冷たいお茶が、ガラスコップに
霜をつくり涼を誘って・・・ いやいや畳を濡らさぬように。
いつまでも、そこに居たくなるような。 昼寝をすれば、気持ちよさそうな。
初めての場所なのに、心やすらぎ、気持ち落ち着くような。
住宅地の中にこんな空間があったりするんだなぁ、とタイムスリップした感覚を
楽しみながら、時間がゆっくりと過ぎて、ひとつの区切りが完了します。
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