よどまず流れさせる時間

 

 

夕方からの雨は、日暮れとともにその降りを徐々に強め、施設へと急ぐクルマの

視界を遮って、左右への動きを繰り返すワイパー。

 

狭い駐車場には、すでに見知ったクルマが停まっていて、こんな時にしか集まる

機会のないことを、明るいセリフで誤魔化しているような気もします。

 

よどまず流れさせる時間・・・

 

自動車専用道で帰途につくと、田舎暮らしの我が家までの距離は近く感じますが

たとえ急いでいても絶対的な距離は縮まらず、おのず時間は費やすのです。

 

遅くなった帰宅を、やさしく迎えてくれる井戸小屋の灯りは、タイムスイッチで

夕暮れから夜までの時間を照らしてくれるのですが、工事の半ばで中断している

玄関周りは照明もなく、暗いままで使い勝手が悪い。

 

その暗闇から、なにやらジャバジャバと聞きなれぬ音が・・・

 

ますます降る勢いの強まった雨が、雨どいからあふれて軒を濡らし地面に落ちて

跳ね上がっています。

 

これには至急な手当てが必要、不必要な場所を濡らすことは、家の寿命に大きく

かかわります。

 

強く降る雨の中、長グツに履き替え脚立を持ち出し、雨どいに溜まった落ち葉を

掻き出すと、つまりは解消し、よどまず一気に流れて行きました。

 

 

Copyright (C) 2000~ 平瀬謹也 All Rights Reserved.

 

 

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