夜中に 「ピチャ、ピチャ、ピチャ」 と、行灯の油を舐める音が響けば、それは・・・
アブラじゃなくて、寝室の窓の夜露を舐める "ゆず" のザラついた舌の音。
「あんたがその窓を舐めるから、いつもキレイにしたげとるん知ってる?」
そもそも階段を下りれば毎度、入れ替えさせてもらってる水皿もあるのに、サボって
下りるのを面倒くさがってるな!
ザラついた舌も、たまにはその感触を楽しませてもらおうと、グイッ、グイッと口の
前に、手を持って行っても 「ヒトのてのひらがナメられますかいな」 と無視。
「ケチ!」 自分のからだはいつも舐めまわしているのに。
さて、ピチャピチャ音に目を覚まし、階下の風呂の残り湯も利用する全自動洗濯機の
なにかの切り替え音に目を覚まし、外が冷え込むピキッという音に目を覚まし・・・
安眠を願いつつ、何度も目を覚ましてしまうワタクシが 「うぅ寝苦しい」 と本気で
覚醒すれば、それは "ゆず" が、掛布団の真ん中で丸くなっているから。
「そこで丸くなるのもジャマやけど、そもそも体温高過ぎ、暑いっちゅーねん!」
「ん、なに?」
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