どこへ向かう軌跡か、

 

 

山裾にある大きな病院から徒歩にての帰路途上、まだ朝の気配を残す陽射しは、低く続く

山並みの東向き斜面を照らし、雑木の彩りが映えます。

 

この季節に時折現れる視界の良い日、遥か遠くにあるものもはっきりと見えて気持ちいい。

 

登りたいなぁ、このクツでは無理ですが30分も歩けばピークにたどり着けそう、そこから

ぐるっと街を眺める、いつもと違う景色が楽しみ。

 

海岸沿いの工場の煙突から、瀬戸内に浮かぶ島々、その向こうまで。

 

見上げると銀色に輝く飛行機が2機、編隊を組んで低い空を西へ。 しばらく開けて、また

2機が西の空へと音も無く進んで行って・・・

 

どこからきて、どこへ向かうのか。

 

どこかで生まれて育ったワタクシたちは、いまを笑ったり泣いたり、楽しんだり悩んだり、

出会い別れて、そっと生涯の終盤を迎えられるでしょうか。

 

その日は今日のように視界の良い日かもしれませんし、雨がともに哀しんでくれるような

日かもしれません。

 

 

Copyright (C) 2000~ 平瀬謹也 All Rights Reserved.

 

 

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