その場所までは車で送ってもらったので用事の終了後、徒歩にて帰路を楽しみます。
まだ葉の緑が鮮やかなモミジ越しに見上げるお城のその周辺は、幼い頃から小学校
にかけての遊び場で、木の上には秘密基地を作り、お堀でオタマジャクシを捕まえ、
覗き込んだ川に落ち、土手を走り回りました。 (幼心には、濠より堀かなぁ)
もしかしたら、いや絶対、このモミジはその当時と同じ木なのは間違いありません。
お城の裏手になるこの堀には当時でさえ危うかった木造の橋が架かっていて、渡り
土手を上がると自動車教習所が見えました。
堀の水面はもっと低かったように記憶しています。
橋のたもとのお地蔵さんのところでは、砂を巻き上げながら綺麗な水が湧いていた
と思うのですが、堰き止められて水面が上がってから随分と経った今では、それが
確かな記憶か自信がありません。
目の神様やで、と聞いている神社の横を通り、クネクネと曲がって路地から路地へ
たたずまいの変わらない軒先をかすめて小さな広場へ、毎日のように走り回った道
に当時、そんなお洒落な名前は無かった千姫の小径を南へ歩きます。
交通量の多い道を横切って、さらに南へ。
川向こうの西側に並んだ家々が整備され舗道になった他は、ここから見える景色に
大きな変化は無いように思いますが、東側の土手の向こうの景色は変わりました。
昭和の真っただ中を色濃く残した景色は無くなり、そこに数多く住んでいた同級生
たちは、いまどこで活躍されているのでしょうか。
千姫の小径を抜けて右に曲がればすぐそこが目的地、この国道沿いの景色も随分と
変わり、また変わりつつあります。
Copyright (C) 2000~ 平瀬謹也 All Rights Reserved.
コメントする