雨上がりの早朝、窓をいっぱいに開けるとツーリング先で迎える
不安と期待の入り混じった朝の匂いがしました。
学校に内緒で免許を取得した16歳なりたての冬、擦り切れるほど
読んだ電話帳のように厚いオートバイ雑誌のツーリングレポート。
自分自身の操作、意思で、まだ見ぬ遠くへ届くようになった想い。
バイトのお金を貯めて選んだのは、その想いを具現してくれそうな
オフロードバイク。
モノクロスサスペンションの車体、空冷2stエンジン、DT125は2台に
乗り継ぐほど長く乗り続け、オートバイのイロハを教わりました。
知識もお小遣いにも乏しく、用品も現在ほど充実していませんから、
驚くほどの軽装で旅に出た冬のツーリングの凍え続けた記憶。
旅先で夏の集中豪雨に遭い、水没させてしまったバイクを整備工場
の方が水抜きしてくれ、近所の家で風呂に入れてもらい、服を洗って
くれた、島根から広島へ抜ける道の途中の小さな村はどこだったのか。
色々な経験、大きな肥やしをいただいた、十代のツーリングの数々。
お世話になった方々へお礼も伝えぬままにしてしまったのが心残りです。
Copyright (C) 2011 平瀬謹也 All Rights Rsserved.
コメントする